マウスピース矯正は「透明で目立たない」というイメージが先行しがちですが、実際には歯の表面に「アタッチメント」と呼ばれる小さな白い突起物を装着することが多く、これが意外なデメリットとなることがあります。アタッチメントは、歯を効率的に動かすために必要なもので、マウスピースの維持力を高めたり、特定の方向に力を加えたりする役割を担っています。歯と同じような色の樹脂で作られるため、それ自体はそれほど目立つものではありませんが、マウスピースを外している時には、歯の表面にポツポツと突起が付いているのが分かります。特に前歯にアタッチメントが付く場合は、思ったよりも目立つと感じる方もいらっしゃるかもしれません。「完全に透明で誰にも気づかれないと思っていたのに…」という誤算が生じないよう、アタッチメントの必要性や、どの歯にどの程度の大きさのものが付くのかを、治療開始前に歯科医師に確認しておくことが重要です。また、このアタッチメントが原因で、口内炎ができたり、唇の内側や頬の粘膜に当たって痛みを感じたりすることもあります。マウスピースを装着している時は、アタッチメントもマウスピースに覆われるため、それほど気にならないことが多いですが、マウスピースを外した際に、アタッチメントの角が粘膜に擦れて刺激となることがあるのです。痛みや違和感が強い場合は、歯科医師に相談すれば、アタッチメントの角を丸めてもらったり、保護用のワックスを使用したりするなどの対処をしてもらえます。さらに、マウスピースの縁が歯茎や舌に当たって痛みを生じたり、口内炎の原因になったりすることもあります。これは、マウスピースの製作精度や、個々の口腔内の形状によって起こり得るトラブルです。我慢できないほどの痛みがある場合は、無理に使用を続けず、速やかに歯科医師に連絡し、マウスピースの調整を依頼しましょう。このように、マウスピース矯正は、単に透明なマウスピースをはめているだけ、というわけではありません。アタッチメントの存在や、それに伴う見た目の問題、そして装置による痛みや口内炎といった、細かなデメリットも理解しておくことが、治療への心構えとして大切です。