もともと頬骨の高さや形が気になっている方にとって、歯列矯正治療がさらに頬骨を目立たせるのではないか、という不安は当然のことでしょう。しかし、適切な治療計画と歯科医師との十分なコミュニケーションによって、その不安を軽減し、むしろ顔全体のバランスを整える方向に導くことも可能です。頬骨が気になる方が歯列矯正を検討する際に、押さえておくべきポイントをいくつかご紹介します。まず、最も重要なのは、カウンセリングの段階で、ご自身の頬骨に関する懸念を正直に歯科医師に伝えることです。「頬骨がこれ以上目立たないようにしたい」「できれば頬がこけて見えないようにしたい」といった具体的な希望を伝えることで、歯科医師もその点を考慮した治療計画を立案しやすくなります。次に、抜歯の必要性とその影響について、詳細な説明を受けることです。歯を並べるスペースを確保するために抜歯が必要となる場合、特に小臼歯を抜歯すると、口元が大きく後退し、その結果として頬骨が相対的に目立って見えることがあります。抜歯が本当に必要なのか、抜歯しない場合の治療法(例えば、歯列の側方拡大やIPR:歯の側面をわずかに削る方法など)との比較検討、そして抜歯した場合の顔貌の変化の予測などを、シミュレーション画像なども用いながら具体的に説明してもらいましょう。また、噛み合わせの改善が頬周りの筋肉にどのような影響を与える可能性があるのか、という点も確認しておくと良いでしょう。例えば、噛み合わせが低く、咬筋が過度に発達している場合は、矯正治療によって適切な噛み合わせの高さになることで、咬筋の緊張が緩和され、エラの張りが目立たなくなる可能性があります。これは、結果的に頬骨とのバランスを整える効果も期待できます。そして、矯正治療中の体重管理や栄養バランスにも注意を払うことが大切です。急激な体重減少は、頬こけを引き起こし、頬骨を不必要に際立たせてしまう可能性があります。バランスの取れた食事を心がけ、健康的な体重を維持するように努めましょう。最後に、信頼できる歯科医師を選ぶことです。患者さんの悩みや希望に真摯に耳を傾け、様々な治療法のメリット・デメリットを丁寧に説明し、共に最善のゴールを目指してくれる歯科医師であれば、頬骨に関する不安も解消しながら治療を進めていくことができるはずです。
頬骨が気になる人のための歯列矯正選びのポイント