歯列矯正治療は、噛み合わせを整え、顔の筋肉のバランスを改善する効果が期待できますが、それだけでは顔のたるみを劇的に改善するのは難しい場合もあります。そこで、歯列矯正治療と並行して、あるいは治療後に「表情筋トレーニング(MFT:口腔筋機能療法など)」を積極的に取り入れることで、たるみ改善への相乗効果が期待できます。表情筋とは、目や口、鼻などを動かし、様々な表情を作り出す筋肉の総称です。これらの筋肉は、皮膚のすぐ下にあり、加齢や筋肉の使い方の偏りなどによって衰えると、皮膚を支える力が弱まり、たるみやしわの原因となります。歯列矯正中は、装置の違和感などから、表情が乏しくなったり、口周りの筋肉をあまり使わなくなったりする傾向があります。これが、表情筋の衰えを招き、たるみを助長する一因となることも考えられます。そこで、意識的に表情筋を鍛えるトレーニングを行うことが重要になるのです。具体的な表情筋トレーニングとしては、以下のようなものがあります。・口を大きく「あ・い・う・え・お」と動かす。・頬を風船のように大きく膨らませたり、逆に思い切りすぼめたりする。・舌を上下左右、あるいは鼻先や顎先につけるように大きく動かす。・口角を意識して引き上げ、笑顔をキープする。これらのトレーニングは、特別な器具も必要なく、いつでもどこでも手軽に行うことができます。大切なのは、毎日少しずつでも良いので、継続することです。表情筋トレーニングを行うことで、顔全体の血行が促進され、筋肉のハリが回復し、皮膚が引き締まる効果が期待できます。また、唾液の分泌も促されるため、口腔内の乾燥を防ぎ、虫歯や歯周病、口臭の予防にも繋がります。歯列矯正によって骨格的な土台となる歯並びや噛み合わせが整い、さらに表情筋トレーニングによってその上にある筋肉や皮膚が引き締められることで、より効果的にたるみを改善し、若々しく健康的な顔立ちを目指すことができるでしょう。歯科医師や歯科衛生士に相談すれば、ご自身の状態に合った効果的な表情筋トレーニングの方法を教えてもらえるはずです。歯列矯正を、単に歯並びを治すだけでなく、顔全体の美しさと健康を高めるためのトータルケアの一環として捉えてみてはいかがでしょうか。