歯科矯正用アンカースクリューは、歯を動かすための重要な役割を終えた後、その使命を全うし、お口の中から取り除かれます。多くの患者さんが、埋め込む時と同様に「除去する時も痛いのでは?」と心配されますが、その不安はほとんどの場合、杞憂に終わります。スクリューの除去は、埋入時よりもはるかに簡単で、身体的な負担も少ない処置です。スクリューを除去するタイミングは、そのスクリューが担っていた役割が完了した時点です。例えば、歯列全体を後方に移動させるために使っていた場合は、その移動が完了し、他の方法で歯の位置を維持できるようになった時点が除去のタイミングとなります。治療計画によっては、矯正装置を外すのと同時に除去することもあれば、治療の途中で除去することもあります。除去の処置は、非常にシンプルです。ほとんどの場合、麻酔は必要ありません。スクリューは骨と癒着しているわけではなく、ネジのように骨にはまっているだけなので、専用のドライバーでくるくると回すだけで、痛みを感じることなく簡単に取り外すことができます。時間は、1本あたり1分もかかりません。患者さんによっては、少し押されるような感覚や、きしむような感覚があるかもしれませんが、鋭い痛みを感じることはまずないでしょう。スクリューを抜いた後の穴はどうなるのでしょうか。歯茎にあいた小さな穴は、自然治癒力によって数日で塞がります。骨にあいた穴も、数週間から数ヶ月かけて、新しい骨で満たされ、元通りの状態に戻ります。除去当日は、抜いた部分から少し出血することがありますが、すぐに止まります。特別な消毒や処置は必要なく、食事や歯磨きも通常通り行って問題ありません。このように、スクリューの除去は、埋入時の緊張感とは比べ物にならないほど、あっけなく終わる処置です。矯正治療における重要な役目を終えた小さな功労者を、安心して送り出してあげてください。