私が歯列矯正を始めたのは、長年のコンプレックスだった歯並びを治したいという一心からでした。装置が目立つのは覚悟の上でしたが、唯一の楽しみといえば、月に一度の調整日に選べるモジュールゴムの色でした。最初は、とにかく目立たないようにと、クリアや薄いグレーばかりを選んでいました。確かに装置は目立ちにくいのですが、なんとなく気分も沈みがちで、矯正治療が少し憂鬱に感じられることもありました。そんなある日、歯科衛生士さんから「たまには明るい色も試してみませんか?気分が変わりますよ」と声をかけられました。少し勇気を出して、その月は淡いピンク色を選んでみることに。すると、鏡を見るたびに口元がぱっと明るくなったように感じ、なんだかウキウキする自分がいたのです。それからは、毎月のゴム交換が待ち遠しくなりました。春には桜をイメージしたピンクやパステルグリーン、夏には海を思わせるブルーやターコイズ、秋には落ち着いたボルドーやオレンジ、冬にはクリスマスカラーの赤と緑を交互になど、季節感を意識して色を選ぶのが私の定番になりました。友人に「今月の色かわいいね!」と褒められることも増え、矯正装置がおしゃれの一部のように感じられるようになったのです。もちろん、色の濃い食べ物を食べた後は着色が気になりましたが、それも想定内。歯磨きをいつもより丁寧にするよう心がける良いきっかけにもなりました。色の組み合わせにも挑戦し、好きなアーティストのイメージカラーを上下で変えてみたり、応援しているスポーツチームのカラーを選んだりしたこともあります。ゴムの色一つでこんなにも気分が変わり、矯正治療に対するモチベーションが維持できるとは思いもしませんでした。もしこれから矯正を始める方や、現在治療中の方でゴムの色選びに迷っている方がいたら、ぜひ様々な色に挑戦してみてほしいです。小さな変化かもしれませんが、きっと矯正ライフがより楽しく、ポジティブなものになるはずです。