歯列矯正治療がいびきの改善に繋がる可能性がある一方で、稀に「歯列矯正を始めたらいびきをかくようになった」「以前よりいびきが悪化した気がする」と感じる方もいらっしゃるようです。これは非常に心配なことですが、いくつかの原因が考えられます。まず、最も一般的なのは、「矯正装置による一時的な気道の変化や不快感」です。特に、治療初期で装置に慣れていない時期や、新しい装置に交換した直後などは、口の中に異物感があったり、痛みがあったりすることで、無意識のうちに口呼吸が増えたり、舌の位置が不安定になったりすることがあります。口呼吸は口腔内を乾燥させ、いびきを誘発しやすくなります。また、舌の位置が通常と異なることで、気道が狭められてしまう可能性も否定できません。これらの場合は、体が装置に慣れてきたり、治療が進んで歯が安定してきたりするにつれて、徐々に改善していくことが多いです ઉ。次に、「噛み合わせの変化に伴う一時的な顎位の不安定」も影響しているかもしれません。歯が動いていく過程で、噛み合わせは常に変化しています。その途中で、一時的に顎の位置が不安定になり、睡眠中に下顎が後退しやすくなって、気道を狭めてしまうことがあります。これも、治療が進み、安定した噛み合わせが確立されると解消されることが期待できます。また、非常に稀なケースではありますが、「治療計画が適切でない」可能性も考えられます。例えば、気道のスペースを考慮せずに歯を動かした結果、かえって舌のスペースが狭くなってしまったり、顎の位置が望ましくない方向に変化してしまったりするようなことがあれば、いびきが悪化する原因となり得ます。これは、担当する歯科医師の診断能力や治療技術に関わる問題であり、もし強い懸念がある場合は、セカンドオピニオンを求めることも検討すべきかもしれません。さらに、歯列矯正とは直接関係なく、「他の要因がいびきを悪化させている」可能性も考慮に入れる必要があります。例えば、治療期間中に体重が増加した、飲酒の量が増えた、あるいは加齢によって喉の筋肉が弛緩しやすくなった、といったことが重なると、いびきが悪化することがあります。もし、歯列矯正を始めてからいびきが悪化したと感じる場合は、自己判断せずに、まずは担当の歯科医師に相談しましょう。原因を特定し、適切な対処法を講じてもらうことが大切です。
歯列矯正でいびきが悪化することも?考えられる原因