歯列矯正の費用を分割で支払う方法の中でも、多くの患者さんにとって非常に魅力的な選択肢となるのが、「院内分割払い(デンタルクリニック分割)」です。これは、信販会社などを介さず、治療を受ける歯科医院と直接契約を結び、治療費を分割で支払っていく制度です。その最大のメリットと、知っておくべきデメリットについて、詳しく見ていきましょう。院内分割払いの最大の魅力は、何と言っても「金利・手数料がかからない」ケースが多いことです。つまり、治療にかかる総額を、単純に支払い回数で割った金額が、毎月の支払額となります。ローンを組んだ場合に発生する金利という余計な負担がないため、総支払額を最も安く抑えることができるのです。また、ローン会社を通さないため、「審査が不要、または非常に緩やか」であることも大きなメリットです。学生や主婦、非正規雇用の方など、デンタルローンの審査に不安がある方でも、利用しやすいのが特長です。手続きもクリニック内で完結するため、手間がかからずスムーズに治療を開始できます。一方で、デメリットも存在します。最も大きな点は、「支払い期間が治療期間内に限られる」ことが一般的であるという点です。例えば、治療期間が2年であれば、支払いも24回払いが上限となります。デンタルローンのように5年や10年といった長期の返済は選べないため、その分「月々の支払額が高くなる」傾向にあります。総額120万円の治療を2年間の院内分割で支払う場合、月々の負担は5万円となります。この金額を毎月コンスタントに支払い続けることが可能か、慎重に検討する必要があります。また、この制度は全ての歯科医院が導入しているわけではないため、院内分割を希望する場合は、事前にクリニックのウェブサイトで確認したり、カウンセリングで質問したりすることが不可欠です。月々の支払いに比較的余裕があり、金利を一切払いたくない、という方にとって、院内分割払いは最も賢く、そしてシンプルな支払い方法と言えるでしょう。