歯列矯正中に悩まされる口内炎ですが、その発生頻度や治りやすさには個人差があるように感じませんか。同じように矯正装置をつけていても、頻繁に口内炎ができる人と、そうでない人がいます。実は、口内炎の発生には、矯正装置による物理的な刺激だけでなく、その人の体質や生活習慣も少なからず影響していると考えられています。まず、免疫力の低下は口内炎の大きな誘因の一つです。睡眠不足や疲労、ストレスなどが続くと、体の抵抗力が弱まり、口の粘膜も荒れやすくなります。矯正治療自体がストレスになることもありますし、痛みで食事が偏ったり、睡眠の質が低下したりすることも考えられます。日頃から十分な睡眠時間を確保し、バランスの取れた食事を心がけ、適度な休息やリフレッシュを取り入れて、心身のコンディションを整えることが、結果的に口内炎の予防にも繋がります。また、栄養状態も重要です。特に、皮膚や粘膜の健康維持に不可欠なビタミンB群(B2、B6など)やビタミンC、亜鉛などが不足すると、口内炎ができやすくなったり、治りにくくなったりすると言われています。矯正中は食事が偏りがちになることもあるため、意識してこれらの栄養素を摂取することが大切です。緑黄色野菜や果物、肉類、魚介類、乳製品などをバランス良く取り入れましょう。サプリメントで補給するのも一つの方法ですが、基本は食事からの摂取を心がけたいものです。さらに、口呼吸の習慣がある人も注意が必要です。口呼吸をしていると、口の中が乾燥しやすくなり、粘膜のバリア機能が低下してしまいます。矯正装置の影響で口が閉じにくくなっている場合もあるかもしれませんが、意識して鼻呼吸をするように心がけ、必要であれば加湿器などで部屋の湿度を保つ工夫も有効です。喫煙も、血行を悪化させ、粘膜の抵抗力を弱めるため、口内炎のリスクを高めます。矯正治療を機に禁煙を考えるのも良いかもしれません。このように、矯正装置という直接的な原因以外にも、様々な要因が口内炎の発生に関わっています。装置の調整は歯科医師の役割ですが、体調管理や生活習慣の改善は自分自身で取り組めることです。矯正治療をスムーズに進め、快適な毎日を送るためにも、ぜひ日々の生活を見直してみてください。