慢性的な大きないびきに悩んでいるものの、その原因が分からず、どこに相談すれば良いか分からない、という方は少なくないでしょう。耳鼻咽喉科や睡眠専門医を受診するのも一つの方法ですが、もし歯並びや噛み合わせにも気になる点があるのであれば、一度、矯正歯科医に相談してみるのも有益かもしれません。なぜなら、いびきと歯並び・噛み合わせには、意外と深い関係性があるからです。歯科医師、特に矯正歯科を専門とする医師は、歯並びや噛み合わせだけでなく、顎の骨格や舌の位置、気道の状態といった、いびきに関連する様々な要素を評価することができます。カウンセリングでは、まず患者さんのいびきの状況(いつから、どの程度の頻度や大きさか、睡眠時無呼吸の症状はあるかなど)や、生活習慣(飲酒、喫煙、体重の変化など)について詳しく聞き取ります。その上で、口腔内の診察や、レントゲン撮影(セファログラム:頭部X線規格写真など)、歯型模型の分析などを行い、歯並びや噛み合わせの状態、顎の骨格(特に下顎の大きさや位置)、舌のスペース、気道の広さなどを詳細に評価します。これらの検査結果から、もし歯並びや噛み合わせの問題が、いびきの大きな原因の一つであると判断された場合、歯列矯正治療が有効な選択肢として提案されることがあります。例えば、下顎が後退しているために気道が狭くなっているのであれば、下顎を前方に誘導するような治療計画を立てることができます。また、歯列のアーチが狭く、舌のスペースが不足しているのであれば、アーチを拡大する治療が検討されます。口呼吸が原因であれば、歯並びを整えて口を閉じやすくし、鼻呼吸を促すようなアプローチが考えられます。歯科医師に相談するメリットは、単に歯列矯正治療を勧められるだけでなく、いびきの原因が歯科的な問題にあるのか、あるいは他の要因(例えば、鼻の疾患や肥満など)が大きいのかを、ある程度切り分けてもらえる可能性があるという点です。もし、歯科的な問題が主たる原因でないと判断されれば、適切な専門医(耳鼻咽喉科医や睡眠専門医など)への紹介も行ってくれるでしょう。また、歯列矯正治療と並行して、睡眠時に装着するスリープスプリント(口腔内装置)の作製を提案されることもあります。これは、下顎を前方に固定することで気道を広げ、いびきや軽度から中等度の睡眠時無呼吸を改善する装置です。
いびきと歯並びの関係性?歯科医に相談するメリット