すきっ歯、特に前歯の真ん中に少しだけ隙間がある状態は、フランスでは「幸運の歯(dents du bonheur)」と呼ばれ、チャームポイントとして捉えられることもあります。日本でも、個性的な魅力として愛されている芸能人の方もいらっしゃいます。確かに、全てのすきっ歯を無理に治療する必要はありませんし、ご本人がそれを気に入っているのであれば、何ら問題はありません。しかし、その「チャームポイント」が、実はいくつかのデメリットを抱えている可能性も考慮に入れる必要があります。歯列矯正をするメリットと、しないデメリットを比較してみましょう。まず、すきっ歯を歯列矯正で治療するメリットです。第一に、審美性の向上です。隙間が閉じることで、歯並びが整い、笑顔に自信が持てるようになります。コンプレックスが解消され、精神的にも明るくなれるでしょう。第二に、機能面の改善です。隙間から息が漏れて発音しにくかったサ行やタ行などが明瞭になることがあります。また、食べ物が挟まりにくくなり、しっかりと噛めるようになることで、咀嚼効率が上がり、消化も助けられます。第三に、虫歯や歯周病リスクの軽減です。歯と歯の間の清掃がしやすくなり、プラークコントロールが向上するため、虫歯や歯周病にかかりにくくなります。これは、将来的な歯の寿命を延ばすことにも繋がります。一方、すきっ歯を治療しない場合のデメリットとしては、まず、審美的なコンプレックスが挙げられます。ご本人が気にしているのであれば、それが精神的なストレスとなる可能性があります。次に、機能的な問題です。発音が不明瞭であったり、食べ物が挟まりやすかったりすることは、日常生活において不便を感じる原因となります。また、隙間があることで、特定の歯に過度な負担がかかり続け、その歯が欠けたり、揺れたり、あるいは歯周病が進行しやすくなったりするリスクも考えられます。さらに、舌で歯の隙間を触る癖がついてしまったり、無意識のうちに舌で歯を押してしまい、徐々に隙間が広がってしまう可能性も否定できません。そして、清掃不良による虫歯や歯周病のリスクは常に伴います。単に「チャームポイントだから」と安易に判断するのではなく、機能面や長期的な健康リスクも考慮に入れた上で、納得のいく結論を出すようにしましょう。
すきっ歯はチャームポイント?矯正するメリット・しないデメリット