歯列矯正治療中にワイヤーが外れてしまうと、焦ってしまいがちですが、誤った対処をしてしまうと、さらに状況を悪化させる可能性があります。ここでは、ワイヤーが外れた時にやってはいけないNG行動と、推奨される正しい対処法について具体的に説明します。まず、やってはいけないNG行動です。一つ目は、「無理にワイヤーを元に戻そうとする」ことです。外れたワイヤーを力ずくでブラケットに押し込もうとすると、ワイヤーが変形したり、ブラケットが破損したり、あるいは歯に予期せぬ力がかかってしまったりする可能性があります。特に、ワイヤーは精密に曲げられているため、一度変形すると元の状態に戻すのは難しく、治療効果にも影響が出かねません。二つ目は、「外れたワイヤーを放置する」ことです。ワイヤーが外れたまま長期間放置すると、歯が計画通りに動かなくなったり、場合によっては望ましくない方向に移動してしまったりする可能性があります。また、外れたワイヤーの先端が頬や舌の粘膜を傷つけ、口内炎の原因になることもあります。三つ目は、「自己判断で次の予約日まで待つ」ことです。ワイヤーが外れた状態は、正常な治療状態ではありません。次の予約日が近いからといって、そのまま放置してしまうと、その間の治療効果が得られないばかりか、治療期間の延長に繋がることもあります。必ず歯科医院に連絡し、指示を仰ぎましょう。では、正しい対処法とはどのようなものでしょうか。まず、最も重要なのは、「速やかにかかりつけの矯正歯科医院に連絡する」ことです。電話で状況を正確に伝え、歯科医師や歯科衛生士の指示に従ってください。場合によっては、すぐに来院するように言われることもあれば、応急処置の方法を教えてもらい、次回の予約まで様子を見るように言われることもあります。次に、外れたワイヤーが口の粘膜に当たって痛む場合は、「矯正用ワックスで保護する」のが基本的な応急処置です。ワックスを適当な大きさに丸め、ワイヤーの尖った部分や外れた部分を覆うようにしっかりと貼り付けます。これにより、粘膜への刺激を和らげ、口内炎の発生を防ぐことができます。もし、ワイヤーが大きく外れてブラブラしており、食事や会話に支障が出るようであれば、歯科医院に連絡した上で、指示があれば、清潔な爪切りなどで慎重にカットすることも考えられますが、これは最終手段です。
ワイヤーが外れた時のNG行動と正しい対処法