「今のところ歯並びに大きな問題はないし、歯列矯正は必要ないかな」そう考えている方も、将来的にその考えが変わる可能性は十分にあります。なぜなら、歯並びは様々な要因で変化する可能性があり、また、ライフステージの変化によって歯列矯正へのニーズが高まることもあるからです。現在は必要性を感じていなくても、将来的に歯列矯正を検討する良いタイミングとはどのような時なのでしょうか。まず、最も一般的なのは「審美的な意識の変化」です。学生時代はそれほど気にしていなかった歯並びも、就職活動を始めたり、社会人になって人と接する機会が増えたりする中で、「もっと綺麗な歯並びになりたい」「笑顔に自信を持ちたい」という気持ちが芽生えることがあります。また、結婚式などの大きなライフイベントを控えて、最高の自分でその日を迎えたいという思いから、歯列矯正を決意する方も少なくありません。次に、「口腔内のトラブルの発生」がきっかけとなることもあります。例えば、以前は問題なかったのに、最近になって特定の場所に食べ物が詰まりやすくなったり、歯磨きがしにくく虫歯や歯肉炎を繰り返すようになったりした場合、その原因が歯並びの微妙な変化にあるのかもしれません。あるいは、顎の痛みや開口障害といった顎関節症の症状が現れ、その改善のために歯列矯正が必要と診断されることもあります。また、加齢に伴う変化も無視できません。前述したように、歯周病の進行や長年の噛み合わせの力などによって、徐々に歯並びが乱れてくることがあります。「若い頃は良かったのに…」と感じ始めた時が、一度専門家の意見を聞く良いタイミングかもしれません。さらに、お子さんの歯列矯正を検討する中で、ご自身の歯並びにも改めて関心を持ち、親子で一緒に治療を始めるというケースも増えています。そして、健康意識の高まりから、「将来の健康のために、今のうちに噛み合わせを整えておきたい」と考える方もいます。歯周病のリスクを減らしたい、しっかりと噛める状態を長く維持したいという予防的な観点からの歯列矯正も、非常に有意義な選択と言えるでしょう。大切なのは、「もう年だから…」と諦めるのではなく、気になった時が相談のタイミングです。歯科医療は日々進歩しており、年齢に関わらず、様々な治療法が選択可能です。まずは現状を正確に把握し、将来の自分にとって何が最善かを考えることから始めてみましょう。